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舞台少女の始まり(劇場版 少女歌劇レヴュースタァライト 感想)

劇場版少女歌劇レヴュースタァライトめちゃくちゃよかった……。
4回目でようやく話わかった気がしたくらいには色々詰め込まれていて、
何度見ても発見があり、そしてまったく飽きることがない。
過去、同じ映画を複数回観るといったことは何回かありましたが、記録更新しそうな気がします。
しかも、スタァライトは某時空管理局のような週替わり要素が来場特典以外にない。
それ込みでいうと、初めてこんなに同じ映画を何度も観たと言えるかもしれません。

以下感想です。

華恋が舞台に立つ理由は何かというと、ひかりと二人でスタァライトを演じるためです。これは何度も何度も華恋が台詞として言っていることです。

今作では101回目の決起集会前というタイミングで、華恋はひかりが自主退学をしたことにより、心が折れている状態で物語が始まります。
これって冷静に考えるととてもヤバい状態で、ひかりがいなくなっただけで大事な卒業公演前に舞台に立てなくなる直前になっています。
なんでそんな状態になってしまったかも今回作中でわかりましたね。

華恋にとってはひかりこそが舞台だったんですね……。
あんなに拘っていたスタァライトですら舞台装置の一つでしかなく、ひかりだけが舞台。そりゃ心が折れるわけです。そもそも自分が立つべき舞台が無くなってしまったんだから。

華恋がひかりしか見ていないことは華恋がトマト(観客の熱)に見向きもせずにひかりへ歩み寄り、自身が今まで努力を重ねてきたのはひかりと舞台に立つためと語る場面でもわかります。
もしかしたら、今までも華恋は観客を見ているようで見ていなかったのかもしれない。
すべてはひかりという舞台に立つための糧。


ばななが華恋は飢えていないと語っていましたが、華恋はそもそもひかりという一つの舞台しかいつも見ていないため、飢えることがなかったのかもしれません。
再会してからは毎日が舞台ですし、他の舞台を見つける必要もない。

ばななに見送られ、電車に乗り次の舞台を探しに行きますが、結果派手に脱線事故してるのは、そもそも次の舞台を見つけることができないからかな。
他の99組メンバーなら何かしらの駅に辿りつけていたんだろうけど。
華恋はそれで言うと舞台少女と名乗りつつも、舞台少女にはなりきれていなかったのかもしれない。

スタァライトがなくなったら。つまりはひかりがいなくなったら、どうして舞台に立つかわからなくない華恋は舞台少女として死にます。

ひかりが今度は自分が華恋を舞台少女として生き返らせる番だとして、華恋を生き返らせますが、皆殺しのレビューで華恋が呼ばれなかったのは、華恋を救えるのはひかりだけだと、ばななかキリンが判断したからなのかな。

華恋の話から離れますが、皆殺しのレヴューはばななとキリンが協力して始めたレヴューに見えます。
皆殺しのレヴューの役割は、オーディションは終わり、全員が既に舞台の上に立っているのに、その自覚がなかったからなのかな。
香子は星光館で語っていたように、おそらく一番オーディションへの未練のようなものが強く、オーディションが再開されたと勘違いしていました。

星光館でオーディションの話が出た時、真矢だけ何も表情が変わっていないんですよね。これは「既に舞台の上に自分たちはいるのに、今更オーディションの話をしてるの?」と思ってたりしたら、そのあとの皆殺しのレヴューで真矢だけは、きちんとばななに対応できていた理由になる気がします。

「なんだか強いお酒を飲んだみたい」は既に舞台の上に立っているということをみんなに伝える最後のばななの優しさだったのかな。
だとすると純那の「わたしたち未成年よ」は最悪の返し過ぎて、どうしようもない。

ひかりはまひるとのレヴューを通して、自分が華恋のためを想って離れるという決断をしたという自身の偽りを認めます。
華恋生き返らせの儀の際に判明しますが、華恋のファンになるのが怖かったんですね……。
幼いころに一度舞台少女として死にかけた自分を生き返らせたうえ、更にきらめきを失った自分を救ってくれたりと、ちょっと同じ舞台に立つ共演者、舞台少女としての仲間として見るのはたしかに難しそうです。

ひかりが華恋を救い、華恋はひかりに救われることで対等になり、初めて同じ舞台に立つ共演者、ライバルになることができたというのが、「ひかりに負けたくない」というセリフに込められてるのかな。二人はずっと幼馴染ではあったけど、双葉と香子とは違ってだいぶ歪んでいる関係だったのが、今作を通じてようやく純粋な幼馴染、ライバルとして関係が成立したように見えます。

そして、華恋はここからが本当の舞台少女としてのスタートです。
華恋がひかりとスタァライトに拘る姿はどこか呪縛のように見えていたので、ようやく解放されたね。おめでとう。

最後のシーンで華恋とひかりは運命の舞台のチケットである髪飾りを外した状態で語り合い、レヴュースタァライトを演じきったと華恋は語ります。
言わばタイトル回収とも言える台詞ですが、これが指すのはひかりと華恋とスタァライトの物語なのか、それとも99期生という舞台少女としてレヴューを演じきったということなのか。

全員が上掛けを外しているので、後者となり、つまりは99期生の卒業の意味みたいな気もしますが、ここら辺は個々人の解釈でどうぞという感じなのかな。

以上で書きたいところ書いた感じです。

以降は書きたいけど上記に盛り込めなかったおまけパートです。

・じゅんななのレヴュー
純那が「言葉こそが私の力だ!」と語っていますが、これ惜しかったんですよね。
出てくるのがすべて自分の言葉だったら完璧だった。
今作のレヴューって本音を出すとか自身を曝け出すとか、そういうところが目的な気がするので、それで言うと「言葉こそが私の力だ!」はとても今回のレヴューの正解に近いことを最初っから言ってると思う。

・真矢クロのレヴュー
真矢が「神の器」とかっこいいことを言っていますが、要は自分を消すことでどんな役、どんな舞台も演じることができるって話ですかね。
結果クロディーヌに器をぶっ壊されエゴを剥き出しにしますが、一番力強い言葉が「私はいつだってかわいい!」なの可愛すぎますよね。


劇場版少女歌劇レヴュースタァライト、ホントに凄い作品でした。
7月の舞台も楽しみです。1公演分しかチケット取ってないけど足りるかな……。
配信で我慢もしんどそうです。