Happiness arises, radiating in vibrant hues.

『幸せが生まれ、鮮やかな色合いで輝く』ことを希う場所

二回観た。二回泣いた。(青春18×2 君へと続く道 感想)

タイトル通りです。久しぶりに映画館でボロボロ泣きました。
本当に良い作品だったので、感想書きます。
公式サイトは↓です。

happinet-phantom.com

予告を見ないで劇場へ行った方が楽しめると思うので、本当は予告を見ないで行ってほしいという気持ちがあります。致命的なネタバレじゃないですが、予告で展開が読めてしまうので。予告を見ないでも、読める人は本編始まってすぐ展開が読める程度のネタバレ度だけど。

最高まで簡略化したあらすじは、36歳で様々なものを失った台湾人のジミーが、かつての想い人であるアミに会いに日本を旅をし、自分の過去の青春と向き合うというものです。


ジミーの現代編(日本)と過去編(台湾)が重なっているシナリオとなっていますが、ただ立っているだけでも汗の滲む台湾の夏の暑さ。そして、動いていても凍えてしまう日本の冬の寒さ。現代と過去という対比だけでなく、こういった季節の対比、描写もとても良かったです。台湾の夏からは青春のエネルギーを。日本の冬からは18年という雪のように重なった人生の重みをそれぞれ感じました。

作中に『一休みはより長い旅のため』という言葉が出てきますが、まさにこの言葉通りの作品だと思います。ジミーは日本各地を巡り、その景色を見ることで自身の過去を振り返ります。アミが自身の台湾の旅は『世界を巡ることで自分を確認するため』というようなことを話していましたが、ジミーが日本に来て行っていたことも、まさにコレでした。

鎌倉で自身の好きなものが何だったかを思い出し、長野で過去アミと観た映画、岩井俊二のLove Letterに関する記憶を思い出し、新潟のランタン祭りで台湾でのランタン祭りで二人がした願いを思い出し、そして福島でアミとの別れを思い出す。

『思い出す』という行為は、自分がどういったことを経て、今の形になっているかを知るという、とても大切なものだと思います。そして、この思い出すという行為。特にジミーのような青春の思い出を振り返るという場合、忙しく生きている日々では日常に埋もれてしまい、思い出すきっかけすら生まれせんが、一休みの最中、自分に対して時間をかけることができるからこそ可能な行為です。

作中でジミーも触れていましたが、ずっと彼は青春を終わらせることができず、青春の残滓を引きずったまま、18年という時間を過ごしていました。
青春18×2のタイトルの意味は恐らく2つあり、その1つが18歳時の青春を巡る過去と現在。そしてもう一つが18×2、つまり36歳となったジミーが思い出す青春を指すものだと思いますが、この旅を経て、ジミーは人生を先へ進めることができるようになりました。まさに日本での時間はこれからの人生という長い旅のための旅となった形です。

なんかそれっぽい感想は以上で、以降はネタバレしかない直情的かつ、とりとめのない感想です。

 

先述した通り、予告を見ないで行ったのもあって、アミのついていた嘘にぜーんぶ引っかかっていました。アミの故郷である只見に着いたときの雰囲気で「もしや?」となっていましたが、淡い期待を抱くのは止まらず。そこからの絶対的な現実にやられてしまいました。

そもそも、その前のシーン。台湾と日本のランタン祭りを交えた演出。アミの台湾でのカラオケ神戸メンバーとの別れで結構涙腺にリーチかかっていたんですが、もうアミからジミーへの贈り物が出てきた時点で涙腺終了です。

ジミーとアミの青春としか言えない、甘酸っぱくも、ほろ苦さのある雰囲気、そして日本編でのジミーの落ち着いた、むしろ落ち着きすぎてしまった雰囲気との対比が本当に良く、特に台湾の街をバイクで2ケツして走るのは、青春の代名詞とも言えるシーンだと思います。
それらの過去の青春の積み重ね描写、現代のジミーのアミへの優しく深い想いの描写から、現代のアミはもう亡くなっているという現実の落差。耐えられるわけがない。本当に良い落差でした。気持ちよく泣いた。

ジミーがたまたま現在の私と同年齢だったのも、もしかしたら評価が高くなっている原因かもしれません。こういった偶然も人生でそう何度もあるものでもないので、楽しめました。

細かいところですが、途中ジミーが日本語を練習していたシーンで発していた言葉「遅れてしまってすみません」といったニュアンスの言葉が、最後のジミーからアミへの手紙でも使われているのが、さり気なく良い演出で好きです。これは2回観ないと気づけないものだったので、2回観て良かったと改めて劇場で思いました。