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『幸せが生まれ、鮮やかな色合いで輝く』ことを願う場所

明るく楽しく優しく時には切なく(きみはねCouples 彼女と彼女の恋する2ヶ月ちょっと感想)

ずっとやりたいと思いながらも後回しになっていた『きみはねCouples』が100円になっていたので、これは買うしかないとなり、早速買いました。良すぎて死にました。チーン

 

この作品、きみはねCouplesがどんな作品かと言えば作中で祥子が語る通りかなと思います。

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ルームメイトである3人がそのうちの誰かを好きになって、周りが見えなくなってしまうくらいになってしまう。残った一人はそれを暖かく見守る。
そんな話がカップルごとに一つずつ。全体に跨った元天使同士のお話が一つといった感じです。

この作品の特に何が良いのかと聞かれると「各カップルの描写がいいのはもちろんなんだけど、その物語では主役ではない人物の描写がすごくいい」という感じになります。メインの二人が些細な事でちょっとすれ違ってしまった(周囲からしたらそれも惚気の延長)際に、そっとサポートしてあげたり、時には声を荒げて叱咤したり。
特によかったのは陽菜×文での倫と聖夜子の発言と聖夜子×祥子でのルームメイト3人組のそれぞれの異なった形での優しい寄り添い方です。

以下キャプチャ付きの激しいネタバレの嵐


まず陽菜×文での倫と聖夜子について書きます。

ずっと二人でいることは無理かもしれないということに気づいてしまった陽菜と倫。
その理由は二人が女の子同士だからというものでした。これも二人が互いのことを想いあっているが故のものです。お互いを想いあうが故に生じてしまう悲しい結論。
この中で登場する言葉が『不自然』や『普通』というものです。ヘテロが普通であり、LGBTはイレギュラーであるとかそういう突っ込むとついったー上では簡単に燃える可能性があるやつ。

そんな普通に対して倫がとても力強く陽菜に対して告げます。

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こんだけの国や州を一気にそらんじられる倫すごい。
そして二人のために剣になると語る倫。

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同時刻。文と聖夜子も似たようなやり取りをしています。
こちらでは女の子同士での付き合いを『罪』というとても強い言葉で文が語っています。これはおそらく、文が自分は陽菜の枷になってしまっているという自責の念から出てしまう言葉かなと思います。

それに対して聖夜子のとても優しくとても強い言葉。

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つまり、文と陽菜にはとても心強い剣と盾がついているんですね。
ただ、これはきっとこの二人のカップリングだけでなく、他のカップリングでもきっと残った1人と聖夜子はつたないながらも剣になり盾になってくれるだろうなと思います。それだけこの3人(聖夜子を加えると4人)の繋がりは優しくて強いです。

 
続いて聖夜子×祥子でのルームメイト3人組です。

祥子に振られてしまった聖夜子。それに寄り添う3人組。
倫は祥子に対して怒り、普段と異なり、誰より静かに冷静に言葉を発する陽菜。ただ黙って一番近くに寄り添う文。

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3通りの異なる優しさを得ることができた聖夜子は場にはそぐわない言葉だけど幸せですね。

えろげでヒロインの失恋シーンのようなものって過去にもいくつか見たことありますが、見ていて涙出たのはおそらくこのシーンが初めてでした。

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失恋シーンがとても美しく、見ている側も感情を揺り動かされてしまうのは、やはりそれだけ『好き』という気持ちが強いエネルギーを持っているからなのかなと思います。
ただ、このシーンの場合、やはり聖夜子を支える3人がいるからこそのとても強いシーンだと思います。この作品のメインというのはもしかしたら、各シナリオで主役となる二人ではなくそれを取り囲む周囲の人々なのかもしれません。


以上、これ以上ないくらいによかったと感じられた2シーンの紹介でした。
明るく楽しく優しく時には切なく楽しめる『きみはねCouples 彼女と彼女の恋する2ヶ月ちょっと』今までプレイした/読んだ百合作品のなかでもトップレベルによかったです。百合が好きな方は是非。