Happiness arises, radiating in vibrant hues.

『幸せが生まれ、鮮やかな色合いで輝く』ことを願う場所

オタクは甘くて不穏な世界が好き

自分の中でVtuberの記事を書く際のラインのようなものがあって、その一つに『しっかり追っていないVtuberについての記事は書かない』といものがあります。

理由としては、記事として形に残るものであれば想いが強い人が書いた方が良いと思うからです。そこまでその人を知らない人が突っ込んだところまで書こうとしても、誤認識や誤読の塊となって、結果的に本当に好きな人からしたら「何言ってんねん」となりそうな気がしています。特に引退系の記事は書こうと思ったこと何回かありますが、私は書けるポジションじゃないと思って書くのやめていたりします。センシティブな気分の時に、そういう誤読まみれの記事を読んでも、「便乗かよ」と思われて不快にさせてしまう気がしますし。

人の解釈は様々なので、「別にそんなこと気にせず書きたいものを書けぇ!」もありだと思うのですが、それでもこういうラインって個人的にとても大事だと思うので……。

ここまで前置きなんですが、なんでこんなに言い訳めいたものを書いたかというと、めちゃくちゃ良い配信があって、それについて書きたいけど、上記『しっかり追ってないライン』にガッツリ抵触してるんですよね。だけど誕生日の記念配信というおめでたいものだし、この記事を読む可能性のあるノベルゲー好きな人は、たぶん見たら刺さるものがあると思うので、書いていきます。ここまで書く言い訳をするのに581文字使いました。原稿用紙1枚超えてるやないか。

というわけで本編です。
昨日は774inc.所属グループのハニーストラップ堰代ミコさんのお誕生日3D配信がありました。

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活動開始時からつけていた右目の眼帯が、ついに外れるという衝撃的なところから始まったんですが、それ以上に内容がとても濃かった。『TOKIMEKI micoriaru』と題されたそれは、その名の通りノベルゲーのようにリスナーのコメントで展開が変わっていくという内容です。途中選択肢が総当たりなものもあったりして、リスナーへの配慮に満ちているなと思いました。リスナーは罵られたいし、甘い言葉を言われたいし、蹴られたい。

リスナーが目を覚ますとそこは大きなお菓子に囲まれた不思議な世界。そして、普段よりも甘くもどこか怪しい声の堰代ミコさん。眼帯を外すと世界が崩壊すると以前から語っていたように世界は崩壊してしまったようです。堰代ミコさん曰く、ここは『ぼくと人間しかいない二人だけの甘~くて都合のいい世界』。

これメリバの世界だ……。ノベルゲーのバッドゲームでたまにある、二人だけが幸せで傍から見ると歪で狂気を孕んでいて、幸福に見えないやつ。それに気づいてからもう駄目でした。オタクなのでメリバのあの毒が含まれつつも甘い空気には逆らえない。

普段から演技力に定評のある堰代ミコさんですが、それが存分に発揮されており、メリバ特有の狂気さを含み、違和感や危険な気配を感じながらも逆らうことが出来ない。気になるところはたくさんあるけど、指摘しきることが出来ずに流されるしかない。そんな一度ハマったら抜け出せない蟻地獄のような世界。徹底的に楽しい。甘い。都合のいいが強調された世界。それを言葉と声のトーンだけで創り出してるのは本当に凄い。


その後、作りかけのパズルが入った額縁が落下するなど、世界の崩壊。甘い時間の終わりの足音の後に堰代ミコさんが訥々と語る場面になるんですが、そのシーンのカメラのアングルや距離感がすごい。この場面の前に色調がちょっと変わるのもあるんですが、ただ立っているだけの映像なのに不穏な空気がものすごい出ています。これ、たぶんもうちょっと遠くても駄目だし、近すぎても駄目な凄いバランスの上に立ってると思います。まさにノベルゲーでいうCGと言えるもの。

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ここで語られる内容は主に未来に対する不安。新しいこと、未知に対して頑張らなくちゃいけない。でも、ここで停滞していれば頑張る必要もなく、優しい世界でいられるし、幸福に満ちている。ここは何も不安に思うことがない幸せな世界だよ? だからずっと居てもいいよね? というものです。

ここのパート、是非配信で見て欲しいんですが、めっちゃくちゃ良いです……。
この記事は、ここのシーンが良すぎて書き始めたものです。

結局オチとしては誕生日のサプライズだった。というものになるんですが、「どうだった? ぼくの世界。楽しんでくれた?」という言葉のように堰代ミコさんが持つ世界観が存分に楽しめるとても良い時間でした。
演技が得意なVtuberの優位なところって、どこまでが演技でどこまでが本音かが本当にわかりづらいところだと思います。言っていたことの全てが演技なのか、一部本音が混ざっているのか。そして、混ざっているとするなら、どこが本音になるのか。結局リスナーとしては本人が明かさない限り永遠にわからないところではあるんですが、こういったことを考えている時点で、リスナーとしてはもう囚われていて、いわば負けです。個人的にはこういうの考えるの大好きなので、ずっと負けていたいです。

この動画の後にシチュエーションボイスも公開されました。

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その内容も、普段配信を見る機会が少ない私でもグッと来てしまうくらいの素敵な内容だったので、是非。こんなシチュエーションボイス出されたら、もっと好きになるしかなくなるよね。リスナーとしては。

最後になりましたが、お誕生日おめでとうございます!
とても素敵な時間をこちらも過ごすことが出来ました。