Happiness arises, radiating in vibrant hues.

『幸せが生まれ、鮮やかな色合いで輝く』ことを願う場所

でも、この記事はデジタルじゃないと読めない(映画アナログ 感想)

アナログを観てきました。
超王道とも言える展開の作品ですが、最後の台詞のチョイスが良過ぎて泣きました。
そこを持ってくるセンスがホントに良い……。
ちなみに原作小説がビートたけしだということを映画のレビューサイトで知り観たくなりました。名も知らぬレビュアーありがとう。

でも、感想として書きたいのはシナリオ部分とかではなく、他の部分です。

ネタバレはないはず。あと公式サイトこちら。
analog-movie.com

 

この作品、タイトルの『アナログ』の通り、現代の映画では定番描写とも言えるSNSやLINEなどのデジタルなコミュニケーションツールが一切出てこないんですよね。友人との連絡ですら、全て電話や直接会うことで成立させています。特に大事なことに関しては、わざわざ遠出してまで、直接対面で伝えに行く。ここまで徹底してアナログのコミュニケーションに拘るの凄くいいなと思いました。
主人公である悟と友人同士のコミュニケーションもまた良くて、ある種の憧れを覚えてしまうほどの関係。飲み屋でくだらない話をし、また時には本気で相談に乗り、先述したように大事なことはどんなに離れていても直接伝えに行く。悟とみゆきの描写の空気感もとても良かったですが、悟と友人が揃っただけで、どんな会話がなされるのか楽しみになってました。

アナログの描写として特によかったのは、悟とみゆきが蕎麦屋を探すシーン。
途中までグーグルマップで来たけど、電池が切れてしまって、最後は手探りという展開ですが、お店を探していてたまたま見つけた道で、けんけんぱをしていたり、銭湯前の椅子で語り合ってるおじさん同士だったりを見つけて、そういう光景に出会える良さ、道に迷ったからこそ見えた景色というものに価値を見出すシーンがこの作品のアナログという点を象徴していて、とても印象的でした。一瞬とも言えるシーンで、恐らくアドリブだと思うんですが、「こっちかな」「こっちの道行ってみましょう」と言ったことを話しながら、地図のない町歩きを楽しんでいるあの空気感がホントに良い。

私はグーグルマップを使っても道に迷うので、言ってしまえば迷子のプロとも言えるんですが、「そうなんだよね。知らない街をよくわからないまま歩く楽しさってあるんだよ」と該当シーンを観ながら思っていました。

良い友情関係、そして王道とも言える物語、静かだけど温かい悟とみゆきのやりとり、そしてでデジタルではなく、直接やり取りすることの良さ。
そういったものをとても楽しめる作品だと思います。おすすめです。